汚部屋の片付けを考える

1. 動機

私はずぼらなので部屋が片付かない.
心構えを変えれば片付くよという記事があったが,私はずぼらなので心構えを変えないし,変えてもつづかない.


汚部屋に戻らないための心がけ
http://anond.hatelabo.jp/20140711114927


なにかがうまくいっていないとき,とにかく気合で解決しようというのは立派な人である.
私は立派ではないので,ぼんやりやっていても自然とそうならない仕組みが悪いんだと考える.クズである.
そんなクズの私が,部屋を汚部屋にしないために必要な仕組みについて考えてみた.


なお私の部屋はとても汚いので,今適当に考えたこの片付け理論が参考になるかどうかは不明である.

2. 片付いている,という状態についての考察

2.1 片付いている,という状態を静的にとらえるのはよくない

片付いている,ということを,ものがあるべき位置に収まっている,という静的な見方でとらえるのはよくないと思う.
なぜなら,ものは移動するからである.


たとえば,服ならクローゼットやタンスと,洗濯前のかご,洗濯機の中,洗い終わった後のかご,物干し竿,
という順に場所を移動して,最後にクローゼットやタンスに戻ってくる.
食器は食器棚から食卓に,食卓から流しに,流しから乾燥かごに,乾燥かごから食器棚に移動する.


服がクローゼットやタンスにある状態,食器が食器棚にある状態だけを「片付いている」とみなすと,
服や食器がそれ以外の状態にある時,いちいち片付いている状態に戻すまでの手順を考えなくてはならなくなる.
考えるのは面倒である.だから放置してしまう.


これを防ぐためには,前もってどうすればいいか決めておいて,考えなくても動かせるようにしておく必要がある.

2.2 「フロー」と「バッファ」

片付いている,ということは,「フロー」と「バッファ」で考えたらいいと思う.
先に定義してしまうと,あるものが片付いているというとき,それは,その物が定められた片付けフロー上のバッファの中にあることだ.


なんだか大げさなようだが,服の片付けで考えるとすぐわかる.
服が部屋の中を移動する流れ,それが『フロー』だ.


服がクローゼットかタンス,洗濯前のかご,洗濯機の中,洗い終わった後のかご,物干し竿,という順に部屋の中を移動するとする.
それ以外のところにおかれることはないだろうし,おかれていたら拾ってどこかに(たぶん,洗濯前のかごに)入れるだろう.
この服が部屋の中を移動する経路が『服のフロー』だ.


『フロー』上にはその物を置いておくための場所がある.これを『バッファ』と呼ぶことにしよう.
クローゼットやタンス,かご,洗濯機,物干し竿が『バッファ』だ.
ここから服があふれていたら,『あふれた服はバッファの中にない』.
あふれた服はその辺におかれることになる.片付いていない.

2.3 フローとバッファで片付けを考える

部屋を片付けたい,といったとき,その最終目標は,すべてのものにフローが定義されており(すなわち,使った後の行き場所がはっきりしており),
すべてのものが片付けフロー中のバッファに収められている(すなわち,すべてのものがカゴなり棚なりに入っている)ということだろう.
そして部屋を綺麗に維持したいといったときは,物がフローに乗ってバッファからバッファへ移動していく時,
バッファが溢れないように調整したい,ということになろうかと思う.


こう考えることの利点は,上の方でも言っているが,ものというのは動くということを取り入れている点である.


服はクローゼットの中に,食器は食器棚の中に,本は本棚の中になければ片付いていないというより,
服が洗濯カゴの中に,食器が流しに,本が机の上に積まれていたとしても,
それはクローゼットや食器棚や本棚へのフローの途上にあるバッファ中にあるから,いずれそこへと片付けられる.
だから片付いていると言ってもいい.そう考えたほうが部屋をつかう上では実際的だろう.


3. 実際の片付け

3.1 バッファが溢れる理由とその対策.

物がバッファの中から逃げ出すには4つの場合がある.


1つめはバッファそのものがない場合だ.
今手にあるものをどこに戻せばいいのかわからない場合,その辺(机の上とか)に放り投げられがちである.


これを防ぐ方法は,どんなものにも片付けのフローを用意してやることである.


2つめはバッファからバッファへの移動が滞り,バッファがいっぱいになる場合だ.
洗濯物でいっぱいのかご,ぎゅうぎゅうになった洗濯機,もう干す場所がない物干し竿,これらはいっぱいになったバッファだ.
これは,次にどうしたらいいかが決まっていなかったり,次のバッファに移すための作業をサボっていた場合に発生する.


これを防ぐ方法は,次になにをすればいいかを予め決めておいて,そして嫌になっても諦めてそれに従うことだ.
それ以外の方法は特にない.と思う.


3つめはバッファに入れるのが面倒な場合だ.
洗濯かごがないので脱いだ服をその辺にほかしておくとか,
ゴミ箱がないのでとりあえず机の隅に積んでおくとかいう状態がこれにあたる.


これを防ぐ方法は,ものが動く場所にかならずバッファを置いておくことである.
ゴミが出るところには必ずゴミ箱を置く.服を脱ぐ場所には洗濯カゴを置いておく.


4つ目はそもそも物がバッファに入りきらなかったり,バッファからバッファへの移動を阻害するほど多い場合だ.


これを防ぐ方法は物を減らすか,バッファをふやすことである.


部屋の中のバッファの容量が100であったとき,部屋の中に100のものを置くことはできない.
なぜなら,ものを移動させることがむずかしくなるからである.
クローゼットとタンスに服がぎゅうぎゅうで,カゴにも洗濯物にも服がいっぱい,
物干し竿は常時稼働率100%では,たぶん服の移動はすさまじくめんどうである.


ギリギリまで増やすのも良くない.そのギリギリに詰め込むのは苦労なので,必ずサボるからである.
物はなるべく増やさず,バッファには常に余裕があるようにしたい.


バッファがどうしてもキツイなら,バッファを広げることを考えよう.
大きい洗濯かごを買ったり,たくさん洗濯機を買ったり,物干し竿を買ったりしよう.
ネックになるバッファを飛ばすというのも手である.
物干し竿は狭い割に長く服を置いておかなくてはならない狭いバッファなので,
これをショートカットするために乾燥機付き洗濯機を買うという手がある.


3.2 部屋を片付ける手順

上記の考えにもとづいて部屋を片付け,片付いた状態を維持することを考える.


管理すべきものは少ないほうがいいし,バッファに余裕を持たせたい.
物を捨てよう.どんどん捨てよう.
いつか要るかもしれないものは,多分一生要らないものだ.
本は電子化しよう.


次に,床や机の上に放り投げられがちなものから順に,そのものが乗るべきフローを考えよう.
私の場合,服と食器と本と小物,小さなゴミがこれにあたる.
うーんだいたい部屋にある全てだな.こいつクズだぜ.


フローを考えるときはなるべく手順を簡略化することを考えよう.
見た目に綺麗でも平日の自分は全くあてに出来ない.
なるべく楽ができた方がいい.


小物なんかは一つの箱に突っ込んでしまうのも手だ.
小物がなくなったとき困るのは,何処を探せばでてくるかわからなくなる時である.
少なくとも箱のなかにあるのだと確信できれば,混乱はだいぶマシになるはずだ.


そして,バッファが溢れないように物をフローに流すには,
どのタイミングでなにをすればいいかを考えよう.

机の上に積んだ本は一日の終りに必ず本棚に入れるとか,
食器は一日の終りに必ず洗って乾燥かごにいれるとかいうことを決めておく.


最後に覚悟を決めて,決めた時間には必ず決めたことをするようにしよう.
人間はゴミとウンコと憎しみしか作り出せない悲しい生命体である.
そのため生きている限り,自分で出したゴミは自分でどうにかせねばならない.
ゴミを片付けたらウンコは下水に,憎しみは水に流そう.


4. 余談

この片付けについての話をトラックと倉庫でやると物流の話っぽいよね.

だれか私の部屋の片付けを数理的にモデル化して最適化してくれ.


5. 最後に

こんな書いたとおりに部屋が片付いたら誰も苦労しねえんだよ!